<KYO>真尋→トラ



「あなたの傍で生きていたい」

 それは、胸の内に秘めた願い。
 文机に突っ伏して眠るあなたに、そっと毛布を掛け、その寝顔を見ているうちに、ついと出た本心。
 それは、許される願い。
 けれど、“女”としてではなく。
 ただの“家臣”として。

「ん〜……わいが……わいが太平の世を造るんや〜……」

 むにゃむにゃと、寝言を言う。
 幸せそうな寝顔。
 仕事の途中で居眠りをしてしまうほど疲れているのに。
 それでも、夢の中でまでこの国の未来を思っている。
 誰よりも、真っ直ぐな人。
 誰よりも、優しい人。
 そんなあなただから。

「真尋は一生、あなたのお傍でお仕えいたします」

 “妻”として、あなたの隣に立つなんて贅沢は、望まないから。
 せめて、せめて最高の“家臣”として。

「秀忠様……」

 あなたの傍で生きることを、どうかお許しくださいませ。






場面的には、トラが将軍になった後(ようは最終回)です。
真尋のいじらしさが可愛くて好きですv