<KYO>遊庵視点・辰伶×庵樹里華



「マジかよ」

 柱の陰に隠れ、遊庵はぽつりと呟いた。
 仕事を終え、灯の所へ寄った帰り。
 廊下の向こうに妹の姿を見かけた遊庵は、一緒に帰ろうかと声をかけようとした。
 が、さらに向こうからやって来た人物に、上げようとした手を止め、反射的に近くの柱の後ろに身を隠した。
 妹――庵樹里華の元までやって来た青年――辰伶は、何やら笑顔で彼女に話しかけていた。
 呆れるほど真面目で、他人に笑顔を見せることなど滅多にないあの男が。
 普段は無表情に近い庵樹里華の顔も、心なしか微笑んでいるように見える。
 そして二言三言言葉を交わしたらしい2人は、並んで歩き出した。

「か〜、参ったな〜」

 2人の姿がすっかり見えなくなり、遊庵は柱の陰から出る。
 ぐしゃぐしゃと己の頭を掻き毟り、溜息をついた。
 他人の色恋沙汰になど興味はないし、それが自分の家族であろうと口出しするつもりはない。
 けれど。

「よりによって辰伶かよ……」

 家柄・本人の実力はもちろんのこと、品も礼儀もあるし顔も良い。
 密かに彼を慕う女は、決して少なくはない。
 ただ。

「アイツ、独占欲強いからなぁ〜」

 大切だと思ったら、命に代えても守り抜こうとする。
 その反面、危害を加える者……というか、悪口ひとつ言う者も許しはしない。
 ヘタをすれば、近づくことすら許さないかもしれない。
 これからの妹の苦労を思い、兄は大きな溜息をついた。






ぎゃー! ごめんなさーい!!><;
辰伶×庵樹里華! こんなマイナー中のマイナーをお礼にしてしまって…!
…布教です(爆
いや、メイン2人じゃないですけども(苦笑)
とりあえず、お兄ちゃんには公認であって欲しいかな、と。