<クラビー>テルマ×ナナ(?)



「思い知らせてやる」

 海辺の堤防に腰を下ろし、夕日を浴びながら、オレはシュトロムグリフォンの整備をしていた。
 その時。

「何をよ」

 そんな声と共に、バシッと何かで殴られた。

「いてーな! 何しやが……」

 頭を押さえながら振り返る。

「ゲッ! ナナ!?」

「『ゲッ』って何よ、『ゲッ』って!!」

 右手に本――どうやらこれで殴られたらしい――を持ち、左手を腰に当て、額に青筋を立てたナナが、そこにいた。

「あんた、まーたバイト、クビになったんだって?」

 一転、今度は口元に手を当て、ぷくくーっと笑う。

「笑うな! 悪いのはオレ様じゃねぇ! 勝手に落ちる皿が悪いんだ!!」

「あー、はいはい。分かった分かった」

 肩を竦ませながら、薄ら笑い。
 ぜってー分かってねぇ。

「じゃ、これあげるわ」

 そう言って、持っていた本を差し出して来た。
 いくつか付箋のついた本。

「バイトの情報誌よ。あんたでもできそうなトコ、チェックしておいたから。だから、そこのレストランの店長さんに復讐なんて考えるんじゃないわよ」

 ……バレてる。

「……フン、余計なお世話だ」

「もちろん、お礼なんて言ってくれなくていいわよ。その代わり……」

「?」

「バイト代の3割、紹介料としていただくから。じゃあね〜」

 パチンとウインクして、ナナは去って行く。

「ふ……ふざけるなーーー! 誰が払うかーーー!! しかも3割って何だよ!? 高いだろうがっ!!」

 けれどすでにナナの姿はなく。
 オレの声は、虚しく響いた。
 小さく、溜息をつく。

「でも、ま、茶ぐらい奢ってやるよ」

 元の向きに直り、夕日に向かってぽそりと呟いた。






えー。 な に こ れ !!
本当に何なのでしょうね。テルナナ?
逃げまーす。