『正解者に拍手!』

 お風呂から上がってリビングに向かうと、そんな声に続きパチパチと手を叩く音が聞こえた。
 クイズ番組でも見てるのかしら?
 あいつが?
 ちょっと想像がつかなくて苦笑する。

 ドアを開けて中へ入れば、テレビの正面のソファーに腰掛ける彼の後ろ姿が目に入った。
 ホントに見てるんだ。
 かなり意外。
 しかも振り返らない所を見ると、どうやら私が入って来たことに気づいてないみたい。
 それなら、と悪戯心が芽生える。
 そっと近づいて驚かせてやろう。

 音を立てないようにスリッパを脱いで、そ〜っと近づいた。
 気配には敏感な彼が振り向く様子は全然なかった。
 真後ろに立っても、気づいてないみたい。
 よし、と意気込み、わっと声を出そうとして――やめた。

「……寝てる」

 肩が一定のリズムで小さく上下していた。
 その様子に嬉しくなって、頬を緩ませた。
 だってこれは、彼が安心してくれてるってことだもの。
 いつも眉間にシワを寄せている彼が、安堵してくれてるってことだもの。

「もう、風邪ひくわよ」

 私は小さく溜息をついてから、毛布を取りに部屋に向かった。







「爆球HIT!クラッシュビーダマン」 コドウ×春子

一 体 誰 の 家 だ !!