「どうしたらいいんだろう」

 いつものように屋根に上り、月を見上げていたシュンが唐突に呟いた。

「シュン? どうかしたの?」

 フェニックスが問うと、シュンは俯いた。

「アリスが……ずっと元気がないんだ。ミヒャエル博士のことを気にしているようで……」

 ミヒャエル博士はアリスの祖父であり、
異世界・ヴェストロイアを崩壊の危機に導いたと思われる人物だった。

「気にするなと言っても、あいつは責任感が強いからな……」

「シュン……」

(今のあなただって、十分、元気がないわよ)

 そうシュンの心配をしつつ、フェニックスは少し嬉しくも思っていた。
 母親を亡くしてからずっと塞ぎ込んでいたシュンが再び仲間を持ち、
こうして誰かの心配をしている。
 フェニックスはフッと微笑んだ。

「シュン、普通にしていればいいのよ」

「え?」

 フェニックスの言葉にシュンは振り返る。

「あなたがアリスのことを心配して暗い顔をしていたら、アリスはますます悲しむわ。
余計な気を遣っても、彼女が傷付くだけ。だから、普通にしていればいいのよ」

 それが、1番難しいことだけれど。

「そう……か。そう、だな……」

 ふぅ、と息をつき、シュンは再び月を見上げた。
 大きな丸い月は、静かに彼の顔を照らしていた。







「爆丸バトルブローラーズ」 シュンアリ前提・シュン&フェニックス

本編でダンルノは増えてきたけど…シュンアリはまだー!?(ぇ