「イナズマイレブン」 木野&音無


「木野先輩、この前頼んだユニフォーム、届いてますか?」

 部室のドアを開けるなり、音無は訊ねてきた。
 今、サッカー部はグラウンドで練習中で、部室に木野しかいないことは分かっていたからだ。
 部室の掃除をしていた木野は振り返る。

「うん、今日のお昼休みに届いたって。事務室にあるから、これから取りに行こうと思っていたところよ」

「そうですか」

 木野の答えに対して、音無はふわりと花が綻ぶような笑みを見せた。
 可愛らしいその表情に、木野もつられて小さく微笑む。

「鬼道くんも、これからはちゃんと自分のユニフォームで練習できるね」

 音無春奈の兄である鬼道有人は先日、帝国学園からこの雷門中学に転校して来たばかりだ。
 だから彼専用のユニフォームはなく、今は予備のものを使用している。
 そして彼だけでなく、サッカー部には他にも数名が入部したので、新たにユニフォームを注文していたのだ。
 木野が言うと、音無は驚いたように瞳を丸くさせ――

「はい……!」

 まるで自分が新しい服を買ってもらって、それが似合っていると言われたかのように、本当に嬉しそうに微笑んだ。

「それじゃあ、私が取ってきますね!」

 音無はそう言うと、事務室に向かって走り出した。
 真新しいユニフォームに袖を通した兄の姿を、一刻も早く見てみたかった。







春奈は可愛い。それだけ。