「イナズマイレブン」 木野&夏未 「夏未さんはどうしてマネージャーに?」 グラウンドを駆け回るサッカー部員たちにファイトの声を掛けたかと思うと、顔も向けずに唐突に木野が訊ねた。 夏未がマネージャーになった初日。 彼女は木野に仕事内容を教わっていた。 音無は次の対戦校の情報を集めに走っており、ここにはいない。 「別に。ちょっとした暇つぶしよ」 夏未は砂埃の立つグラウンドを見つめ、ふんっと鼻を鳴らした。 暇つぶしと言うが、生徒会長をしていて、尚且つ理事長代行もしている夏未には、仕事は山というほどあるはずである。 それに、彼女はサッカー部を廃部にしたがっていた。 それが一転して部に協力するというのだから、理由が暇つぶしであるはずがない。 だから木野としては夏未の答えは不服だったが、答えたくないものを無理に聞き出すのも気が引けたので、それ以上は追求しないでおこうと決めた。 けれど―― 「奇跡を、見てみたいと思ったのよ」 「え?」 夏未の口から発せられた意外な言葉に、木野は瞳を瞠った。 彼女の横顔を見つめれば、その視線はグラウンドに向けられたまま、動かない。 「いいえ、違うわね。正確には、彼らが奇跡を起こすところを、かしら」 奇跡と言うなら、練習試合とはいえ帝国学園に勝った、そのことこそ奇跡だろう。 けれどあれは自然に起きたものではない。 絶対に諦めないという彼らの心が引き起こしたもの。 木野は、フフッと微笑んだ。 「頑張ってる男の子って、カッコイイもんね」 木野の言葉に、夏未は弾かれたように振り返った。 瞳は大きく見開かれ、頬はみるみるうちに赤く染まっていく。 「べっ、別にそういうわけじゃないわ!!」 フンッと、長い髪を揺らし、夏未は視線をグラウンドに戻した。 木野もそちらへ目を向ける。 キラキラと輝く無数の汗は、太陽の光よりも眩しく感じられた。 この2人が仲良くしてるのが好き。 でも守秋は譲れない(苦笑) |