「しゅごキャラ!」 空海×歌唄


「ごめんね」

 ぽつりと呟くような言葉に、空海は振り返った。
 しかし、背中合わせに座る歌唄の表情は見えない。

「何がだよ?」

 空海が首を傾げれば、歌唄は小さく溜息をついた。

「色々と」

「何だそれ」

 空海は苦笑した。
 けれど、彼女が何に対して謝っているのかは、何となく分かった。
 付き合っているのに堂々と会えないこと。
 彼女はアイドルだ、そんなことは承知の上である。
 なかなかスケジュールが合わなくて滅多に会えないこと。
 これは彼女が芸能活動で忙しいだけでなく、自分も部活に精を出しているから仕方ない。
 デートといえば、大概どちらかの家になってしまうこと。
 歌唄は今、今後の芸能活動を左右する大事な時期に来ている。
 余計なスキャンダルは起こさないに越したことはない。

「お前が謝ることじゃねーよ」

 空海は体を反転させ、後ろから彼女を抱き締めた。
 回された腕に自分の手を重ね、歌唄もうんと頷く。

「それに、こうやって一緒にいられるだけで嬉しいしな」

 ニッと白い歯を見せて笑った空海に、歌唄は頬を赤く染める。
 彼はいつだって真っ直ぐで、ウソがない。
 それにどれだけ救われてきたことか。

「バカ……」

 そう呟いて、歌唄はくすりと微笑った。
 国民に広く顔を知られるアイドルの、他の誰にも見せないその表情に。
 愛しさが募り、空海は彼女を抱き締める腕に力を込めた。







空歌は歌唄ちゃんが空海に甘えまくればいいと思います。