「イナズマイレブン」 土門→秋←一之瀬(アメリカ時代) 「フェアに行こうよ」 追いかけるのを諦めて視線を地面へと落とした直後だった。 先に行ったと思っていた一之瀬の声がすぐ隣から聞こえて、驚いて振り返る。 ポン、とオレの背中を叩き、一之瀬がニッコリと笑った。 「オレはアキの右側。土門は左側。なっ!」 ……アキの手を掴んでさっさと走り出したのは誰だったか。 オレが呆れて苦笑すれば、一之瀬はパチッと片目を閉じて笑う。 「それでもオレは、負けるつもりなんてないけどね」 どうしてこいつはいつもこんなに自信満々なんだろう。 大体、オレはアキのことが好きだなんて言った覚えは1度もない。 それなのにライバルと認められてる。 (……認められてる? 一之瀬のライバルに?) いつも一之瀬には適わないと思っていた。 勉強はどっちもどっちだったけど、サッカーは一之瀬の方がずっと上手かったし、アキが最高の笑顔を見せる相手もオレじゃなかった。 だからいつも、一之瀬には勝てないし、ライバルにすらなれないと思っていたのに。 「……オレだって、負けないさ!」 勝てる見込みは少ないと思う。 それでも、こいつがライバルとして認めてくれるなら。 「引き下がれるわけないだろう!」 オレがそう言って笑えば、一之瀬も満足そうに頷く。 アキの呼ぶ声がした。 どちらが先にアキの手を掴めるか、オレたちは視線を交わして走り出した。 でも秋ちゃんが選ぶ相手は円堂なんだよぉー!(← |